Train in Maison Ikkoku

Update : 1998.9.28


 ここからは、時計坂をちょっと離れて、非日常の場面で出てくる電車や、アニメ・実写版に登場する電車を取り上げます。


第2章 旅 -国鉄(JR)・地方私鉄-

1.富士急行
2.上越新幹線「あさひ」
3.急行「越前」

第3章 アニメで登場する電車

1.黄色の電車 -国鉄(JR)中央線-
2.朱色の電車 -国鉄(JR)中央線-
3.西武レッドアロー
4.JR165系

第4章 実写版で登場する電車

東急池上線


第2章
旅 -国鉄(JR)・地方私鉄-

1.富士急行

 原作24話『リンクに賭けろ!』冒頭で、一行が乗っているかなり古い電車が描かれています。まず特徴ある車両の塗装から、この路線が私鉄線の富士急行であることが分かります。そして車両の特徴(両端に寄ったドア、連続した狭い窓、車内のクロスシート)から、モデルがモハ7030形と呼ばれる車両であることがわかります。
 
この車両は国鉄からの払い下げ車(元形式:クモハ14)で、この当時ですでに車齢50年を越える老兵でしたが、ちょうどこの年(昭和57年)から導入された小田急の払い下げ車に置き換えられて、1~2年のうちに廃車されました。その元小田急車も1997(平成9)年までに全車引退し、今は京王帝都の払い下げ車が幅を利かせています。時の流れを感じますねえ。

 ちなみに富士急行は、JR中央線の大月から富士吉田を経由して河口湖に至る路線長26.6キロの私鉄です。最近は東京始発の中央特快がここまで乗り入れてまして、この沿線から東京都心に通う人が少なからずいるみたいです。よそ者の私には信じられないことですが……東京ってやっぱりどこか変です。


2. 上越新幹線「あさひ」


  東北・上越新幹線200系
(大宮駅にて)

 原作64話「別れの18番ホーム」で、一刻館から新潟に帰るゆかりばあちゃんは大宮駅から(当時上野-大宮間は工事中でした)上越新幹線の特急「あさひ」に乗車します。この列車は「高崎付近の架線事故」とかで発車寸前に足止めされてしまい、その後1時間以上も止まったまま。ヒマを持て余した住人たちが何をやらかして、そして何が起こったかはもうみなさんご存じですよね。(^^;
 64話15ページ目に描かれているホームの表示器には「あさひ157」の案内が見えます。この列車は当時実際に存在しており、定時運転ならば大宮を15時05分に発車、新潟には17時00分に到着していました。ちなみにその次の列車は「あさひ193号」16時05分発でした。それにしてもこのころの上越新幹線って、運転間隔が1時間ぐらい開くこともあったんですねー。のどかなものです。


3.急行「越前」

 原作107話『二人の旅立ち』で、昼頃に一刻館を出た響子でしたが、くっついてきた住人たちに無理矢理送別会を始められて、乗るつもりの特急を逃がしてしまいます。響子が足止めされている間に書き置きを見た五代が追いつき、偶然にも二人は同じ列車に乗り合わせることになります(しかも背中合わせの席)。
 二人が乗った列車は、季節運転の夜行急行「越前」と思われます。上野から北陸方面に向かう夜行は他に寝台特急「北陸」、夜行急行「能登」(いずれも定期列車)がありますが、「北陸」には座席車が連結されておらず、「能登」も使われていた客車の形式が違います。
 さらに、『二人の旅立ち』13ページ目に描かれている日程表では出発日が「7月27日」となっていますが、1985年夏の「越前」の運転日は「上野発 7/19, 26-8/14, 16-18, 23, 9/13, 14, 20, 21」日となっており、当日に運転されていたことが確認されています。

※当初このコーナーでは、問題の列車を「能登」であるとしていましたが、くろべさんの指摘をもとに再調査を行った結果、「越前」の存在が判明しました。こちらのページに「越前」であると判断した理由を書いてあります。

  急行「越前」はこんな列車でした
機関車は上野発車から恐らく長野までEF62、客車は12系6両という編成でした。この写真に写っている列車は「越前」ではないのですが、編成は全く同一です。
(中軽井沢~軽井沢間にて)
Photo by Tsukagoshi.Shin'ichi
  12系客車
「越前」に使われていた客車です。
(新大阪駅にて)

  1985年7月の信越線時刻表
これが「越前」が存在したという現在唯一の証明です。上で述べた運転日もここから読み取ることができます。
出典:弘済出版社刊 大時刻表 1985年7月号
この時刻表画像データは当ページにおいて資料目的に使用することを条件に公開を許可されたものです。従って他所への転載は固くお断りします。

 なお、「越前」は昭和62年まで春・夏・冬のシーズン毎に運転されていましたが、その後この系統は「能登」の臨時増発運転という扱いになり、「越前」の名前は消えてしまいました。そして現在は「能登」も上越線経由となり、車両も電車に変わっています。

 ちなみに、響子が初めに乗る予定だった列車は、上野発信越線経由金沢行きの特急「白山」だと思われます。この当時は1日2往復が運転され、その後1往復となって最近まで存続していましたが、長野新幹線の開業と同時に廃止されました。

 ちなみに下の写真は急行「能登」です。機関車の様子はこちらの写真の方が分かりやすいのでは。

  客車時代の急行「能登」
(尾久付近?にて)
Photo by Takeshige Toranosuke


第3章
アニメで登場する電車

1.黄色の電車 -国鉄(JR)中央線-

  JR103系(写真はJR西日本所属車)
(川西池田駅にて)

 アニメでは原作と若干設定が変更されており、西武電車はほとんど出て来ません(一度だけ登場……後述)。一番多く登場するのが、黄色一色に塗装された電車です。
 この車両は、正面の三枚連続したガラス、おでこの一つ目ライトなどから、中央・総武線の直通各停に使われていた101・103系だと思われます。ただし、TVアニメ31話『一刻館スキャンダル 五代君が同棲中!?』では「立川」「津田沼」という行き先を出した電車が描かれています。「津田沼」は問題ありませんが、「立川」にこの黄色の電車が入るのは、実際は早朝・深夜の数本だけです(昼間は全列車中野・三鷹止まり)。
 なお、この路線の101系は1989(平成元)年に引退し、103系も正面の窓が細長くなってかなり印象の変わった後期車が主流になっていて、アニメ通りのスタイルの車両はなかなか見られません。


2.朱色の電車 -国鉄(JR)中央線-

  中央線201系
(東京駅にて)

 TVアニメ40話『優しさがせつなくて X`マスは恋の予感!』で、頻繁に中央線の快速電車が出てきます。この車両は201系と呼ばれるもので、その後前面への種別表示器の取り付けやスカート取り付けなどの改造を受けながら、現在も中央快速線のヌシとしてがんばっています。


3.西武レッドアロー

  5000系
(横瀬駅にて)
Photo by Masaru Taniguchi

 TVアニメ47話『響子ハチャメチャ! 酔いどれてプッツン』の中で、1度だけ西武特急「レッドアロー」(5000系)が登場します。しかもマニアックなことに、先頭車同士を連結した部分が描かれています。つまり、かつて多客期に限って運転された4+4、あるいは4+6両の併結編成がモデルになっているのです。ただし、このような編成が運転されたのは1976(昭和51)年までであり、それ以降はすべて6両固定編成で運転されたはずなので、おかしいといえばおかしい部分です。
 もっとおかしいのは、西武レッドアローが登場する前の場面で、同じ踏切を上に書いた国鉄101・103系が通過しているのです。この回を作ったスタッフはいったいどういうつもりだったのでしょう。(^^;

 なお、西武レッドアロー(5000系)は、第1章-6で書いた10000系の登場により、1995(平成7)年に全車引退しました。一部の車両は富山県の富山地方鉄道に売却され、今でも現役として走っています。


4.JR165系

 
JR165系
(新宮駅にて)
信越本線を走る165系
Photo by Tsukagoshi.Shin'ichi

 北陸旅行編で、誤解を抱いたまま旅立つ二人。原作では上に書いたとおり急行「能登」でしたが、TVアニメ61話『追いかけて五代さん 響子失恋ひとり旅』では湘南色の急行形電車が出てきます。この電車は165系と呼ばれる系列で、一昔前までは上野・新宿から信州・越後方面に向かう急行列車の定番だった車両です。
 駅の案内表示器には「急行 ほくりく」とか書いてありますが、こんな列車は存在しません(漢字表記の「北陸」ならありますが、これは寝台特急です)し、165系は直流電化区間しか走れないので、逆立ちしても金沢までは行けないのです。

 なお、TVアニメ17話『響子さんの初恋物語 雨の日はいつも…』で、高校時代の五代君が片思いの女の子に振られる場面でも湘南色の電車が登場するのですが、こちらは失礼ながらまともに考察するのも気が引けるような適当な描かれ方をしています。


第4章
実写版で登場する電車

東急池上線

  東急3000系
(五反田駅にて)
右が標準色のダークグリーン、左は廃車直前に旧塗装に復元された車両です。
Photo by Tsukagoshi.Shin'ichi

 実写版の中で、模擬試験をさぼって会場を抜け出した五代がこずえと一緒に電車に乗っている途中、響子を見かけて後を追うというシーンがあります。
 ここで登場するのが、濃いグリーンに塗られた電車。公開時期(昭和61年)を考えれば、首都圏で残っているのは京王帝都電鉄か東京急行電鉄の旧型車です。ではどちらかということになりますが、京王帝都の旧型車は1984(昭和59)年までに全廃されているので、撮影には間に合わなかったものと思われます。
 もう一つ手がかりになるのが、一度電車を降りかけた五代が、響子が乗り込むのを見つけて車内に戻るシーンで写る、駅の立て看板。住所のところに、「大田区東(南?)雪谷」と書いてあるのです。これで、このシーンのロケが東急の、しかも池上線で行われたことが確認できます。

 東京急行の旧型車(3000系列と総称されました)は1989(平成元)年に全車引退し、現在の東京急行は一部の支線用車を除いてすべてギンギンのステンレス車で運転されています。


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